ほんとうにほんとうの秘密は、雀に聞かれてはいけないよ。
 秘密はあっというまに秘密じゃなくなるからね。

 その子は、たいそうおしゃべりで、雀というあだ名がついていた。
 たいていの女の子をかわいいと思える菅流だが、この子だけはどうも苦手だった。菅流がどこの娘に声をかけたとか、ちょっと遊んですぐに逃げたとか、そうしたことまで、そこかしこに触れ回ってくれるからだ。
 根も葉もなくはないものの、悪い噂を耳にしたという娘に袖にされることも少なくはなく、菅流は自分の軽薄さをうらむより先に、雀をうとましく思ったのだった。

 ひらひらと風に乗ってなにかが飛んでくるのを見つけたのは、里のはずれの道を一人で歩いていたときだった。
 布の切れ端かなにかが、菅流のほほをかすめて飛んでいった。
「だれか、それをつかまえて」
 松林の影から飛んできた女の子の声に、菅流はがぜんやる気になると、布を追って走り出した。うまいことにちょうど風がやんだ。
 木の枝に引っかかった布を取ろうと、木に登った菅流は、あと少しというところで足を滑らせ、下に落ちた。布をつかんだはいいが、恰好が付かない。立ち上がろうとしても、足首をひねったようで立ち上がれないのだった。
「あの・・・・・・大丈夫?」
 菅流は顔をしかめた。雀がそばに立っていたのだ。
 きっと、木から落ちたことも言いふらされるに違いない。
 布を突き出すと、菅流はよろけながら立ち上がり、びっこを引いて来た道を戻った。

 次の日、遊びにも出られずおとなしく家の仕事にいそしむ菅流のもとに、やけにひんぱんに女の子が顔を出していく。それも、みんななにかしらおみやげを持って。果実に、菓子に、花束まで。あっという間に、贈り物は山になった。じいちゃんが目を丸くしたほどだ。
「大丈夫? まだ痛む?」
「かわいそうに。はれてるんじゃない」
 なかには、菅流を袖にした子もいた。平気な顔で礼を言ったが、なんとなくおかしくて、一人になると菅流は吹き出した。

 雀の顔がちらつく。足の痛みもなにほどのものか。
 つくりかけの管玉を日にすかしてみながら、菅流はほほえんだ。
関連記事
 

 

 

Comment

 

Secret?


 

 

 

 

*Template By-MoMo.ka* Copyright © 2017 しろたえ日記, all rights reserved.

りえ

Author:りえ
基礎絵本セラピスト®
妖怪博士(中級)
漢方養生指導士(初級)

養生とは、生命を養うこと。
健康を保ち、その増進につとめること。

絵本セラピーで心をほぐし、ときに妖怪でほんわかし。
漢方の考え方で身体をやしなっていきます。

無理しない、頑張らない「養生」日記です。

古代日本好き。


シンイの二次小説をお探しの方は、下のリンクからどうぞ!
シンイ



『オロチの娘~妻問いの夜』
いるかネットブックス
※電子書店パピレスより発売中です。
1-203328-c200.jpg



乙女のぐっとくるお話を追求する官能部
http://p.booklog.jp/book/57289部誌その1
http://p.booklog.jp/book/80593部誌その2


kaminomaeをフォローしましょう

絵本関係 (4)
二次創作まとめ (27)
空色勾玉 二次 (99)
拍手お礼 (246)
日記 (35)
妖怪検定 (4)
一次創作まとめ (16)
白鳥異伝 二次 (31)
薄紅天女 二次 (30)
現代勾玉 (14)
勾玉の本 (20)
千と千尋の神隠し (26)
勾玉まつり (28)
未分類 (13)

このブログをリンクに追加する

この人とブロともになる

QR