チョコレートの日2

2012.02.13.Mon.18:56
「あの、どうやったらチョコというのは固まるの?」
 鈴はほっぺたにチョコレートをつけたままで、途方に暮れたようにたずねた。
「型に流したら、冷やすのよ」
 千種は鈴の顔を見て笑いをもらした。千種の家の小さな台所は、甘いにおいでいっぱいだった。
「このハート型、なぜ使わないの?」
 袋に入ったままの大きなハート型が目についたので何気なく聞くと、あわてたように千種は視線を泳がせた。
「いいの、これは、使わないから」
「藤太はハートが好きだって言っていたわ」
 こっそり味見をしたあと千種をみると、彼女のしろい頬がほんのり染まっている。
「藤太は千種のくれるものなら、なんでも喜ぶと思うけれど」
「鈴ちゃん、からかわないで」
 からかってなどいない。真実だ。
「ハートを使いましょうよ。好きだって言うんだもの、藤太が泣いて喜ぶ顔が見られるかも。それで、ラブとかスキとか書くの。そういうものでしょう、手作りチョコって」
「鈴ちゃん!」
 千種が声を上げた。
「あなたこそ、阿高にどんなのをあげるつもりなの?」
 目を大きくして、鈴は首を傾げた。
「阿高はいらないんですって」
「じゃあ、それは、だれにあげるの」
 やや戸惑ったように千種は言いよどんだ。
「ええと、田島さんとか」
「・・・・・・だれ?」


 
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