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迷惑なみやげ

 春がきた。 武彦は、村のはしに流れる小川のあたりで、話し声を聞き止めた。 川向こうの里からみやげを持たされて帰ったところだ。 芽吹きをまつ桜の古木のかげに、あるじの姿が見える。おそらくそのそばには、ただひとりの想い人がいるのだろう。「ごめん、遠子。機嫌を直してよ」 まただ。謝るほどのことでもなかろうに、軽々しく頭を下げすぎる。 地位を手放したとて、武彦にとってはまほろばの皇子であることにかわりは...