FC2ブログ
flower border

No image

勾玉三部作愛読者新規開拓・再読促進委員会

勾玉三部作、親子で楽しんで楽しんでいますよ! とのコメントいただきました新規入隊これからもひっそりと地道に! 三部作愛読者を新規開拓、再読促進を進めていきたいと思います。...

No image

言祝ぎ

 しろい乳房に吸いつく赤子を、狭也はいとおしげに眺めている。「前に見たときより、ずいぶんしっかりしたわね。そう思わない? 少しみない間に、ほんとうに丸々と愛らしくなって」 そう言い掛けられて、稚羽矢は戸惑った。前がどうだったかなんて、おぼえていない。あたたかそうな衣にくるまれた子は、いつだって誰かの腕に大事に抱えられている。抱いてみよと渡されるのを、稚羽矢はそらおそろしいような気がしてずっと遠慮し...

No image

12/31 空色 もてる×まかない

 花かんむりを捧げられて、稚羽矢は目をみはったが、すぐにうれしそうに受け取った。 娘たちは笑いさざめきながら、春の野を色とりどりの衣でにぎわしている。狭也は少しはなれたところからそれを眺めて、息を吐いた。 稚羽矢は人々になじむようになってきた。 うれしい、よかったとは、思う。  でも、気が気でない。誰にも明かせないことだが、少し見回しただけでもきれいな花はいくらでもあるし、稚羽矢がひとたび望めば、...

No image

12/28 空色(現代) わりかん×むき出し

 スピーカーからきれぎれの節回しが聞こえてきた。「あれはなんだろう」「気になる?」 軽トラックがのんびりと売り歩くのを呼び止めると、ヤキイモをひとつ買った。わるいことに、持ち合わせが足りない。「稚羽矢、百円持ってる?」 ポケットをごそごそ探った稚羽矢は、無造作に小銭をつかみだして見せた。「割り勘ね」 二つに割ると、ほかほかと湯気がたちのぼった。いい匂いがする。片方を渡すと、とまどったように稚羽矢は...

No image

12/25 空色 金さびた×手を開く

 うめくような、しわがれた自分の声で稚羽矢は目覚めた。 身を裂かれるような痛みと、口の中に広がるねばねばした血の味に吐き気がする。「目が覚めたか」 つめたい声がした。「寝ていろ。中途半端は迷惑だ」 室にやってきた科戸王は、にらみおろしてきた。「もう、いい。危ういところは、すぎた」 血を吐きだすと、稚羽矢はこぶしで唇をぐいとぬぐった。 狭也が連れ去れたとき、こみ上げてきた気持ちがなんなのか、稚羽矢は...